白癬は、体の細胞の構造や機能が、高等な動物や植物に匹敵するほどの分化をした、カビの仲間です。
現在では生物界を「動物界」「植物界」に二分するのではなく、最も発達した核をもつ真核生物とよばれる生物群を「動物界」「植物界」「菌界」の3つに分類しする見解が一般的になってきています。「菌界」は、カビを含んでいます。より原始的な核をもつ原核生物とよばれる生物群には、多くの病気の原因にもなる細菌類が入っています。
白癬は、皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)と呼ばれることがあります。白癬のほかに熱帯地方に見られる渦状癬(かじょうせん)や、黄癬(おうせん、主として小児の頭部に現れる、日本には見られない)といった、白癬に近縁の菌によって起こる病気を含めて一括したものを指す言葉です。
このように、ケラチンを分解・利用する能力を持ち、ヒトや動物の角層(皮膚の最外層)に寄生しているカビをまとめて皮膚糸状菌と呼び、この種のカビによる病気を皮膚糸状菌症と呼びます。
白癬には、他にもいろいろな病型があります。発症する場所によって、以下の病型があります。
これらの病気を起こすカビが、白癬菌です。白癬菌は数十種の互いに良く似た菌を含んだグループであり、正しくは白癬菌群というものです。

現在、白癬の原因になる菌は10数種類が知られています。それらは、場所や時代によって変化が見られます。日本では、ほとんどが「紅色菌」あるいは「趾間菌」と呼ばれるもので、この2種でおよそ90%を占めています。他にいくつか見つかることがありますが、かなりまれです。(菫色菌、鼠径表皮菌等)
このように、人に特異的につく菌を「好人性菌」と呼びます。
犬小胞子菌は、イヌやネコにつく白癬菌です。この20年の間に、ペットでの流行の後に人の身体の白癬からも多く進化したことでも知られています。
疣状菌(ゆうじょうきん)は、ウシのたむしの原因菌ですが、たまに酪農家のたむしの原因にもなります。動物を本来の宿主とする菌を「好獣性菌」といいます。
このように、白癬菌群という大きな菌の仲間は、特定の宿主に寄生する方向に進化をしつつ、他の種の動物にも感染する能力を持ちうるのです。