
水虫とは一般的に「足にできて、皮膚がはがれる」皮膚病の総称です。このような症状は足白癬によるものが最も多いため、「水虫=足白癬」と考えられることもあります。足白癬とは皮膚糸状菌というカビ(白癬菌)が皮膚の角層に入りこんで、繁殖していることをいい、足以外にも感染することがあります。 カビは高温多湿の環境で活発に繁殖しますので、水虫は夏になると症状が悪化することを繰り返します。
水虫の原因が白癬菌によるものかどうかは、白癬菌が患部にいるかどうか検査をして初めて決まります。検査では普通はカセイカリ鏡検法が用いられます。検査材料を取るときの痛みもなく、検査結果も10分ほどでわかります。
また、「水虫=足白癬」と考えている皮膚科医もいるため、水虫の治療に皮膚科を受診したら、本当は足白癬によるものではなかったにもかかわらず「足白癬」の治療をされたために治らない、といったような食い違いが起こるケースもあります。
水虫は、「足白癬」という医学用語が使われる前から、一般に知られていました。昭和初期に発行されたある百科事典にも、水虫についての記載があります。医学的に水虫が確認されたのは、欧米では19世紀の終わりごろとされており、1890年代になって初めて水虫の研究がスタートしました。
「カビ」によって起こる病気であることがわかったのは、1910年のことです。日本では大正7年(1918年)に東京大学皮膚科教授の太田正雄博士が、水虫の原因菌である「白癬菌:ハクセン菌」と呼ばれる「カビ」を分離培養したのが始まりです。

水虫の患者は、皮膚科の外来患者の10%以上を占めていて、治療に根気がいるうえ治りにくいため、この治りにくさがかえって皮膚科医の治療に対するモチベーションを低下させているのではないかと思われます。
また、水虫は命にかかわる病気ではありません。水虫になって長く経つと、かゆみなどの症状が少なくなることもあって、皮膚科医にとっても診断を下したら薬を処方して終了、ということになりがちです。作用機序や形の似た薬が多く治療法が画一的に近いということも、この状況に拍車をかけているようです。
水虫は軽視されがちですが、皮膚科医がより注意して扱うべき病気です。白癬という病気は、白癬菌とヒトという全く違うかけ離れた生物が、知らず知らずのうちに互いの生活面で干渉しあいながら、共存関係を保っている状態を言っているともいえます。それはある意味、生物学的にも非常に興味深いと言えるかも知れません。